関節リウマチ治療と腎機能について
今年の夏は大変な猛暑でしたが、やっと朝晩は涼しくなり、過ごしやすくなって参りました。脱水による腎血流量の低下は腎機能障害を引き起こしますので、この数カ月、外来では多くの方にこまめに水分補給をするようにお伝えして来ました。皆様よく実践して下さったようで、暑い日が続いたにも関わらず、腎機能障害が進行せずに夏を終えることができました。
腎機能は加齢に伴って緩徐に低下していくものではありますが、できるだけ良い状態を保って頂きたいと思います。特に関節リウマチの患者さんにとっては腎機能の低下は大きな問題となります。関節リウマチの治療に用いる薬剤には腎機能が低下している方には処方できないものがありますので、治療が制限されてしまいます。一方で、関節リウマチのコントロールが悪いと腎障害を引き起こすというジレンマもあります。
関節リウマチに限らず多くの方が使っているNSAIDsと呼ばれる消炎鎮痛剤(ロキソニンやボルタレンなど)は、腎血流量を下げるという副作用があり、腎機能障害を悪化させます。そのためNSAIDsは腎機能障害がある方には使えません。代わりに使える薬剤としてアセトアミノフェンを選択しますが、アセトアミノフェンには抗炎症作用はありませんので、NSAIDsと同等の効果が得られるわけではありません。関節リウマチ治療において最も重要な薬剤であるメトトレキサート(MTX)は実際に内服している方も多いと思いますが、腎機能障害がある方では上手く排泄できずに副作用が強く出る可能性がありますので、腎機能に応じて減量したり中止したりする必要があります。生物学的製剤には腎機能による制限は設けられていませんが、MTXの併用が必要な薬剤(インフリキシマブ)はMTXが使えない時点で継続できなくなります。JAK阻害薬の中には代謝の問題で腎機能障害がある場合には使用が制限される薬剤(ゼルヤンツ、オルミエント、ジセレカ)があり、腎機能に応じて減量や中止が必要になります。免疫抑制薬であるタクロリムスは腎障害を引き起こす可能性があるため血中濃度を確認しながら慎重に投与しますが、腎機能障害がみられた場合には中止し、他の薬剤に変更せざるを得なくなります。タクロリムスは間質性肺炎などの合併症があり、他の薬剤を選択しにくい関節リウマチ患者さんに用いることが多いため、他の薬剤以上に腎機能障害による中止を避けたい薬剤です。
残念ながら病状によっては腎機能障害が避けられない場合もあります。しかし、脱水や熱中症など避けられる原因は避けるべきです。まだ日中は暑い日が続くようです。引き続き、こまめな水分摂取を心がけて頂ければと思います。
